ゴー宣DOJO

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ゴー
2023.12.8 23:57

私が「論理の前提には感情がある」をちゃんと理解したのは30歳でした

弁護士のゴー(茅根豪)です。

著名な評論家だった西部邁氏の著作を読み直しています。しゃべったことも、お会いしたこともないけれど、同氏が60代のころまではずっとファンでした。遠くからですが熱心な読者だったと思います。

ただ、見かけたことは2回だけあります。どっちもゼフィーロでした。

https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130602/13004677/dtlphotolst/smp2/

素敵なイタリアンレストランで、2階席で宴会?してるのをお見かけしました。

とゆーか、評価3.08って信じられん。4.08の間違いだろ!

このお店はゴー宣でも何度か描かれたことがありますし、覚えてる方も多いと思います。とても素敵なお店です。

 

熱心と言いましたが、西部氏の本で最初に読んだ本は忘れてます(笑)。28年くらい昔の話ですね。もちろん切っ掛けはゴーマニズム宣言で、何度も登場する西部氏に興味をもったのが始まりです。

ただ、読んでみたものの、二十歳くらいだった私には難しいものが多く、最初はあまり価値が分かりませんでした。あまりどころか、一文が長くて読みにくくて仕方なかったなぁ(段々と非常に読みやすいと感じるようになったのですが)。

その後、わからないながらも飽きずに読み進め、私の場合は30歳の誕生日ころにやっと実感を持って「なるほど!」と思えるようになったに過ぎません(ゆっくりでもいいの!)。

当時はお金が全くなかった(バイト・ヒモ生活(・∀・))ので、彼女とのデートも街をブラブラするだけでした(渋谷が多かったなぁ、何時間も歩くだけ)。

 

それで、その30歳の誕生日のデートの会話のなかで、お互いの周りの人(友人・職場の同僚・上司・親戚・自分自身など)について、分析的に各人の言動を語り合うことをしていました(変なデートですね(-_-;))。

そのとき、西部氏がいつも言っていた「論理の前提には感情がある」との言が非常に上手く使えたのです。誰か(会社の上司・友人など)が何かを話しているとき、特に理屈を付けて人を説得したり、何かを主張するときについてです。

そんなシーンは日常的に頻発するものですが、普通は誰でも話し手の理屈や話しぶりに意識が集中していると思います。私もそうでしたし、その彼女もそうでした。しかし、もっと意識的にそれら言動の前提にある感情に焦点を当てたのです。

そのように、それぞれの出来事を振り返りながら話し合ってみると、あのときの上司の説明の前提には保身という感情があるな。全てそこから発想してるんだ!」とか、「あの人の叱責の前提は男の嫉妬があったんだなぁ。なるほど、やっと合点がいった」などなど。

それまでイマイチ分析しきれなかった他人の言動がどれもこれも奥底まで見通せる感覚になり、話しながら自分たちの視野が急に広がったように思え、かなり気分が高揚したのを覚えています。

懐かしい渋谷のデートですね。何も買わずただ何時間も歩いてお話ししただけですが、若かった(・∀・)

 

この体験はとてもささやかなものですが、30歳でやっと理解できた私なんかより、西部氏は(当然ながら)遥かに深く鋭く相手の論理の前提にある感情まで日常的に見通していたはずで、その後、いっそう西部氏のことが気になり、畏敬の念を抱くようにようになりました。

さらに秀逸なのは、より抽象的に「合理の前提には非合理がある」のところを、人間の精神活動に当てはめた言い方として「論理の前提には感情がある」とした点です。人の精神のありようを見抜き切った言葉だと思います。

 

私が言うのも小っ恥ずかしいのですが、事実なので言っちゃいますと、知識人やメディア人が何か論理めいたことを話しているとき、上記の視点をモノにしていれば簡単にインチキを見破れます。

「こいつの理屈が立ってる感情の大地はどんな土壌だ?」という気持ちで眺めてやりましょう。凸凹だったり、痩せ細っていたり、そんな感情の大地に立派な論理の塔が建つはずがない、そいつの底が露わに見えてきます。

 

偉大な先人が残してくれた、超簡潔なのに超使える頭の整理です。どんどん使って、ぜひ皆さんも、西部邁が見てた(かもしれない)視界を味わって下さい。

ゴー

昭和50年生まれ。神戸市在住。一児の父。いまのところ弁護士。サラリーマンが長続きせずバイトも続かず三十代で司法試験を目指し間違って合格。こんな責任が重い仕事は早くリタイアしたいと思っている。19歳から読み始めた漫画(ゴーマニズム宣言)を未だに卒業できず今日に至る。同書は今も隠れて読んでいる。仕入れた知識や思想で過去の自分にマウントをとるのが好き。本当は沢山の人とゴー宣の話題で盛り上がりたいと思っている。

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